マダガスカルの部族の墓標を手に入れることができました。数点ありますので1点づつゆっくりアップしていきたいと思っています。

マダガスカル南部に住むマハファリ族の墓標です。村の外にあるお墓にいくつも立てられる柱のようなもので「アロアロ」と呼ばれています。
こちらは1960年頃にトゥリアラのベティウキ地方でみつかりました。アロアロの柱のてっぺん部分にあたります。ちなみに、「アロ」という言葉はマダガスカル語で「仲介者」または「メッセンジャー」を意味するようで、アロアロは故人が祖先のコミュニティに参加するのに役立つ可能性がある、といったことが
wikipedia に書いてありました。
入口も出口も窓もなく、ただ屋根があります。シンプルな小屋です。

マダガスカルの太陽や乾燥した気候にさらされて、あとは朽ちるのを待つだけといった廃墟の佇まいとなっています。屋根の一部に水色の塗料が少しだけ残っていて、かつては彩色されていたことが分かります。
代々伝統的な技術を受け継いだ職人がこうした墓標=アロアロを生み出しています。
とあるマダガスカルの職人は「わしの父は、ウシ1頭とひきかえに彫刻を作って暮らしてきた。わしの彫刻は、海外でも高く評価されているので、ウシ1頭よりも高いよ。」(「
墓標を刻む」国立民族博物館アーカイブより)と自慢気に語っています。

アロアロは新しい世代によって作り直されたり追加・更新されていきます。柱としての機能を持たなくなった古いものは、家族が持ち帰ったり、そのまま土に還ったり、壊されたりします。アロアロには価値があるため、家族によって売られる場合もあります。
しかしときに家族は、「祖先の精神を所有するため」「祖先の秩序から個人を追放するため」といった理由から柱を中心から分割します。その一部を粉砕してお薬のようなものを作ったりお守りに使用することもあるらしいです。
1896年にフランスが植民地化したことでアロアロが「発見」され、一部のマニアが価値のあるものとして取引するようになりました。そしていまでは盗難されるという事態が起きてしまっています。土に還ったり、家族のお薬やお守りになったり、盗難されたりと、さまざまな要因が重なり手に入りづらいものとなっています。

こうしたアロアロのほとんどが故人にまつわる生活の「日常のシーン」や「エピソード」をモチーフとしているそうです。
家や小屋といった建物は「日常のシーン」を切り取ったもので、故人を思い起こさせるイメージを結ぶ記憶装置のようなものと思われます。
(それにしても屋根しかない小屋と故人がどうのようにつながっていたのか気になります。誰も入ることのできない小屋のなかには一体なにがあるというのでしょうか!?)

密度が高く希少とされる「神聖な木」(Mendorave)からアロアロは生み出されているそうです。
すっかり乾燥しているのに手に持つとずしっとした神聖な重さがあります。下部のカット面から木の密度の高さが窺えるように思います。

長期にわたってマダガスカルの風土に野ざらしにされて、塗料は剥げたけど地衣類を身につけました。乾燥した気候に浸食され続けたことにより独自のテクスチャとなった出入口のない小屋です。
マハファリ族の古いアロアロの一部です。風雨による浸食、地衣類の付着痕跡、その他、ワレ・欠け・汚れといったダメージ等があります。
お品の詳細は掲載写真にてご確認をお願いいたします。気になる点やご質問、マハファリ族、及び、アロアロについての情報等がございましたら、「
お問い合わせ」からご連絡をお願いいたします。
<参考サイト・参考文献>
「
墓標を刻む」(国立民族博物館)
「
Aloalo」(wikipedia)
「
Burial - Madagascar」(australianmuseum.net.au)
「
Aloalo, Mahafaly Sculptures Of The Efiaimbelos」(artmap.com)
「
South-Western Madagascar」(sulama.de/リンクをクリックするとPDFが開きます)
●原産国
マダガスカル南部 Southern Madagascar
トゥリアラのベティウキ地方 Betioky Region, Tulear
●部族
マハファリ Mahafaly
●本体のおおよそのサイズ
h23.5 x w17 x 12.5 cm
●重さ
約1720 g
●材質
木、地衣類の付着痕跡
●推定年代
1960年頃
●来歴
EX. in situ.
EX. gallery collection(de)
【重要】
*こちらの墓標にはスタンドは付属しません。
*マハファリ族の古いアロアロの一部です。風雨による浸食、地衣類の付着痕跡、その他、ワレ・欠け・汚れといったダメージ等があります。
[ン・マのアイテムについて]
モニターの環境(PC・スマホ)により見え方が異なる場合がございます。ン・マで扱っているものは1点ものがほとんどです。アフリカの部族による儀式痕跡として、ワレやキズ、シミ、汚れ等々、ダメージのある場合がございます。アイテムの状態に関してより詳しくお知りになりたい場合は、「
お問い合わせ」からご連絡をお願いいたします。